カメ散歩の日記

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つけびの村 噂が5人を殺したのか? のメモ

書籍名

つけびの村 噂が5人を殺したのか? 高橋ユキ 晶文社 2019/9/25

雑感

あとがきで著者も述べているのだが、この頃のノンフィクションのスタイルから外れた形になっている。本書を読み進めているときにも「独特のスタイルだなぁ」と思っていたのだが、あとがきをみて、そのとおり、と感じた。

本書のテーマは5人を殺害した犯人を中心としたルポルタージュである。しかしそれだけでなく「事件が起こった地域の産業や人口動態の歴史」「地域に根ざした神社や祭りなどの文化風俗史」「都会と田舎の関係性を見た日本の経済史」「本書の出版に至るまでの経緯と著者の生活記録」がおり混ざったものである。全体としてはやや混沌としておりまとまってはいない。だが、複数の軸で事件を見ていくことでとても立体的で生々しく感じることができた。

読んでいる途中で「何の本読んでるんだっけ?」という感覚になるときもあったが、それぞれのテーマが私が関心のある分野であったため、多くのエピソードを楽しむことができた。著者の心情や日常の話や出版に至るまでの苦労話もあり「頑張れ!」といった気持ちにもなった。

殺人事件を扱ったルポなので、基本的にはシリアスで不幸や理不尽を扱ったものではある。しかしいくつかの分野を詰め込んだ本書を読んだ感想としては、一粒で5度ぐらい美味しい、といったお得な感じであったし、テーマの割にはサラリと読めた印象。

読むことになったきっかけ

2020年第3回ノンフィクション本大賞の候補に選ばれており、帯に藤原ヒロシのコメントがあって気になっていた。年に何度かある衝動買いのときにいろいろなホント一緒に購入。