カメ散歩の日記

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ブループリント(上) のメモ

書籍名

ブループリント(上) ニコラス・クリスタキス 鬼澤忍・塩原通緒 訳 ニューズピックス 2020/9/17

気になった部分

はじめに − 私達に共通する人間性

  • 「社会の善」を推進する力
  • 他者を憎まず自集団を愛せるか
  • 私たち一人ひとりが自分の内部に「善き社会を作り上げるための進化的青写真(ブループリント)」を持っている
    • 上記が本書のメインテーマ。

第1章 社会は私たちの「内」にある

  • 子供の行動には、小規模で暫定的な一種の社会を作り上げることがそもそも含まれている場合が多い。人間とは幼い頃からお互いに助け合うものなのだ。
    • 知識が少ない(バイアスが少ない)状態であれば、もともとの青写真に従った行動が取りやすい。恥やプライドといったものもまだあまり認識されない。
  • 畏怖の念は、利己生を低下させ、他人とのつながりをより強く感じるように認知変化を引き起こすために進化した感情である
    • 天変地異で生じた破壊に対して皆が団結して対応する、敵が自集団を攻めに来る、など、一人ではどうにも対応しきれないときが当てはまるか。
  • あらゆる社会の核心には以下のような社会性一式が存在する:(1)個人のアイデンティティを持つ、またそれを認識する能力(2)パートナーや子供への愛情(3)交友(4)社会的ネットワーク(5)協力(6)自分が属する集団への好意(すなわち内集団バイアス)(7)緩やかな階級制(すなわち相対的な平等主義)(8)社会的な学習と指導
  • 社会生活の青写真は私達の進化の所産であり、DNAというインクで描かれている
    • 社会性一式が「社会の善」を形作る要素であることは同意。

第2章 意図せざるコミュニティ

  • 根本的に異なるルールを持つ社会を作り上げようという取り組みの大半は、すっかり破綻するか <略> もとの社会と似てしまうという結果になるかのどちらか
    • 社会性一式に規定された社会 = 私達の多くが慣れ親しんでいる社会
  • 社会学者のマックス・ウェーバーによれば、国家の定義のひとつは「一定の領域において暴力の合法的な仕様の独占を要求する存在」だとされる
    • 社会性一式とは別の議論。だけどこれも一つの真理だと思う。

第3章 意図されたコミュニティ

  • 歴史的に見て、共同体運動が盛んになるのは社会や文化が大混乱にある時期だ。<略> 今日の情報革命と発展しつつあるロボットによるオートメーションは、共同体主義車を刺激しているかもしれない。 
    • この予言は当たるかもしれない。ちょっと心配。
  • 有能なリーダーが果たすべき務めは多い。すなわち、集団内の対立をできるだけ小さくする。厄介者が集団の調和を乱す前にうまく対処する。計画どおりに仕事を進める。緊急時にも合理的な判断を下す。争いが起きれば公正に対処する。コミュニケーションを円滑にする。<略> 時には同じ人間が手段的な機能と表出的な機能をともに果たすことはできない場合もあるだろう。これこそ多くの社会に「戦争をするリーダー(将軍)」と「平和を交渉するリーダー(外交官)」がいる理由だ
    • 基本事項だが、どの分野のリーダーにも当てはまる、ということをつい忘れがち。分野に特化したリーダー特性というものを探しがち。

第4章 人工的なコミュニティ

  • 社会的なつながりを変えられる可能性があるだけでも、より良いコミュニティを形作れるようになる
    • 居心地のいい状態を選択できる。自分に裁量権があるということが、コミュニティを良好に保つ。自分自身の幸福感とも直結する考え。
  • 生物がある特定の形を取るのは、特定の形だけが物理的に可能であり、より重要なことに「適応上有益」だからだとされる。<略> 人類を始めとする哺乳類のある種の社会組織だけが、物理的、生物学的、社会的環境に対処する上で助けになるのかもしれない。ある種の社会組織だけが道理にかなっており、それこそが社会性一式なのである。
    • 自然選択による適者生存としてはそうなのだろう。ただ、知恵のついた人間は遺伝子に組み込まれたもの以上に「論理的なもの」を付け加えることができる。これが現代人の悩みのタネにもなっている。「本来の人間としてはXXX」対「論理的には、より良くするにはXXX」

第5章 始まりは愛

  • パートナーを愛そうとする衝動は普遍的なものなのだ。
    • 途中色々興味深い話があったが、結局上記につきる。ただ、それはありきたりの結論ともいえる。

第6章 動物の惹き合う力

  • 夫婦の絆と原初的家族の出現が核となって、集団生活に関するより広範な特徴が育まれ、社会性一式の他の側面が現れてきた。私たちは、パートナー、子、親族への愛着と愛情の輪の外へ出て、自分の友人と自分の集団への愛着と愛情へ徒歩を勧めていったのだ。
    • 前章に続き、話として興味深い事例はたくさんできたが、結局は上記の文にまとまってしまう。これも当たり前の話。

雑感

本上巻全体を通じて、非常に興味深い文化人類学、歴史、新科学的な話がたくさん出てくる。しかし、最終的な結論が比較的「当たり前」と思えるものになってしまう。これは、筆者の言う「社会性一式」があるべき姿として常識なものであるから仕方のないこと。印象に残る強い主張は感じられない。昔から「こうあるべき」ものは理にかなったものであり、人間の青写真になっているという主張。

ただ、自然界の動物としての人間と、文明を発展させてきた人間とはうまく整合性を取れない部分が出てきつつあるのが現代。進化と自然淘汰の結果と論理的にこうある方が合理的(もっとうまくやれる)ということが衝突している。

読むことになったきっかけ

本屋で陳列されているのを見つけ、帯でビル・ゲイツエリック・シュミットスティーブン・ピンカーの推薦文が書いてあったので、あまり中身を見ずに購入。著者については全く知らなかった。